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力なく仕事に挑んでいたあの頃を振り返る『仕事の説明書』から見たいま

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仕事というのは面白かろうが面白くなかろうが、真剣に取り組まなければいけない。責任問題とか納期とか製品のよしあし後輩の面倒に追われ怒涛のように過ぎていく生活。それにいつの間にか慣れたころあいに、ふとやってくる退屈。

いつの頃からか、つまらなく感じるように。最初の頃の仕事への熱意はどこへやら、毎日が時計と液晶の行き来になって残り時間にため息。

昨年、転職してからそんなことは減ってきていたけれど、ふとした時に転がり落ちそうなことばかり。楽しいってなんだっけ、仕事への熱意ってなんだっけ。そもそも仕事って……。

そんなときに見つけたのが、『仕事の説明書』という本です。

ゲームのルールを知ることが大事だ。
そしてルールを学んだあとは、
誰よりも上手にプレイするだけだ

(田宮 直人(著), 西山 悠太朗(著), パブリック・ブレイン(編集)『仕事の説明書~あなたは今どんなゲームをしているのか〜』より)

表紙はでかでかとしたタイトルと、アインシュタインの言葉。つまらない仕事を面白くできるなら。と思いさっそく手に取ることに。意識高い系だと思われたくないな……と、少しの恥じらいと共に本書を開きました。

読み進めていくと、これが面白い。自分の仕事がSEであることがよかったのか、共感できることの多いこと多いこと。なにより論理的に物事が進んでいく。単純なハウツーや気構えが書かれているようなあっさりした内容ではなく、なにが問題なのか、どうすればそれが解決に向かっていくのか。

さまざまな例えと方法が理解しやすく書かれており、問題を提起すること、解決すること、そしてその先までが網羅されている。繰り返すだけの日々に悩んでいる人、なにをするべきか見えていない人が「仕事を理解する説明書」としておすすめできる1冊です。

目次

僕らは仕事を知らないまま現場に出て、学ぶ前に次へと送られる

新卒採用されてから現場に出るまで研修があり、研修が終わるとさっそく現場に送られる。どの会社に行ってもある程度このフローに従って行動を制約されるし、そもそも研修がない会社すら存在する。

制約の中で努力し、努力の結果が差し戻されやり直し、マニュアルに従い、やりたいことは成長してから。

仕事は面白い。それ出会う前に、飽きている

僕らは「仕事は面白い」を感じるまでに本当にたくさんの時間を費やして費やして「面白い仕事」に出会う前に、飽きる。僕自身いつの間にか

「仕事はつまらないもの」

「すきな仕事じゃないのに面白いわけない」

「おもしろいこと、ないかな」

こんな言葉が癖になるように。

本書の中で、著者も同じようなモチベーションの低下について悩み、「モチベーションは与えられるものではなく奪われるもの」という結論に達している。仕事に入るために資料を作り、自分が判断するのではなく上司に判断してもらい、良しあしを指摘され本当に始めたい仕事について始めることはできない。

モチベーションをそいでいるのは自由意志がはく奪されるから

―――遊びやゲームは楽しくできる。それこそ時間を忘れてしまい寝不足になるほど。それは仕事とはなにが違うのだろう―――著者はそれを3つの要素にわかりやすく指摘してくれている。

ロジェ・カイヨワが挙げた遊びの諸特徴を踏まえて、仕事をゲームに近づけるために解決すべき要素として次の3つが抽出される。

1.ゴールや到達手段が曖昧であること
2.失敗が許容されないこと
3.自由意思が発揮できないこと

(田宮 直人(著), 西山 悠太朗(著), パブリック・ブレイン(編集)『仕事の説明書~あなたは今どんなゲームをしているのか〜』より)

楽しくできる遊びやゲームとの大きな違い。シンプルなことなのに確かにモチベーションの低下が招かれている。仕事には「魔王を倒す」なんて明確な目標はなく「上司の要求のレベルを満たすための作業」と化している。ミスをすれば叱られ、人の作業がうらやましくてもそこへ介入することはできない。

会社に魔王は存在しない。

著者の仕事の経験と過去に体験したゲームの経験。そこから仕事とゲームの決定的な「違い」が紐解かれていきます。

「仕事の説明書」が提示しているのは、仕事のことを知るのは言うまでもなく、起こっている問題がなんなのかどうすれば問題が解決されるのか、その問題はどうやって見つけていくのか。それに尽きる。

その実践的な技術と方法を、筆者の体験や例題をもとに進みながら、その時々、その場しのぎの問題解決ではなく「質の高い問題定義」を行う方法を伝えてくれています。魔王がいないなら、作ればいい。

「働く」がわかったあと、その先にある「なぜ」

いまの現場はとても人が良く、ある程度の自由がきき、期限に間に合わなそうになくても、ある程度の融通が利く。転職したことで図らずも前の職場の仕事より、ゲームに近づいた内容で仕事ができる環境に恵まれた。

もちろん楽しさもある。なのに冒頭で述べたもやもやが付きまとうことが増えた。もとより前の職場は死んだ魚の目で仕事をしていたので、こんなもやもやが出始めた、が正しい。

仕事は楽しいけれど今度は仕事が難しくなった。なにが問題かを考える時間がものすごく増えた。

問題定義と問題解決の比重が上がったいま。必要なこと

自由裁量が増えることで仕事を持つ「量」が増え、仕事の「内容」が変化し、「質」に対する意識も変わっていった。保守作業や簡単なフロント画面を修正するような前職とは違う。知らないことでもどんどん取り組む。

それらの作業に付随してくる「なぜ」―――因果関係について考え、原因を求める必要が出てきた。つまり問題解決がより重要になってきたのです。

けれどあまり意識せず、その場しのぎの調査や対応で問題を解決し時間をかけて問題を解決していく日々ばかり。というか問題解決の手法に誰が気づくというのか。

日に日に増えていく残業時間がついていくごとに、あの頃のように死んだ魚の目になるばかり。なにが原因なのだろうか。ぐるぐると思いを巡らせていましたが、今思えば難しく考えすぎていたんじゃないかと。

問題解決のフレームワークで、明確な課題に気づく

本書では、そんな問題に対して「問題解決のフレームワーク」を利用して、明確にする手法を指示してくれています。

「新規契約が取れない」「システム障害が多発する」など、仕事上で何らかの問題を抱える人は多いだろう。
しかし、これは問題ではなく単なる「現状」である。また「新規契約を取ろう」「システム障害を撲滅しよう」
というのも解決策ではない。ただのコインの裏返しである。このように考えてしまう人は
【解決策がわからないのではない、問題がわかっていないのだ】という状態にある。

(田宮 直人(著), 西山 悠太朗(著), パブリック・ブレイン(編集)『仕事の説明書~あなたは今どんなゲームをしているのか〜』より)

問題解決をしなくてはいけないのに、問題の裏返しを解決策だと思ってしまう。問題解決能力が大事だといっているのに、問題提起が間違っているため、問題が解決することから遠ざかってしまう。

本書では問題を解決する方法を図と例題を用いて明瞭に説明していきます。

「問題解決のフレームワーク」だけでも本書に目を通す価値があると思います。もちろんフレームワークは別の書籍でもおなじみの物がありますので詳しい方法論などは、合わせて読んでみるといいかもしれません。

初めはみんな下手だった。繰り返し続けることが仕事を理解する近道

この本がもたらしてくれる「問題を解決することへの糸口」は、単にフレームワークによって問題を明確化することだけではなく、問題へたどり着くためのロジカルな思考を強化することができるようになることです。

知っているか知らないかだけで、目的の理解度を変化させ、様々なマネジメント手法と組み合わせて利用することで、個人だけではなくチーム全体に変革をもたらす技術になりえます。

面白い仕事に出会う前に、飽きるのではなく、自分から会いに行く。

実践しよう。自分だけの仕事の説明書のために

実践すること。これらのことに意味があると理解するには、身をもって体感してもらうのが一番早いかもしれない。8-8のタイトルにもなっている「初めはみんな下手だった」にあるように著者は実践することを勧めています。

それが必要かそうではないかは自分で取捨選択すればよい、ということです。それすら自分で問題提起することを考えさせてくれる。この本にはそんな魅力があります。

この本を通して学べること実践することで、より仕事のルールを学び、ほかの誰よりも上手にプレイをすることへつながる。それがゲームのような楽しさや仕事への熱意を高めてくれるはずです。

仕事机の上に並べて、迷ったときに手を伸ばしたい。そんな1冊です。

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