僕の父は癌で、気づいた時には手遅れでした。
初盆を迎えたいま、後悔したことをつづっていきます。
親孝行しなかったことを、後悔しないためには、先に孝行するしかありません。
本当に残念なことですが、親のありがたみは失うか離れるかしないとわからないことです。
父がいなくなり、からっぽの麦わら帽子が揺れるたびに胸が痛くなります。
いない人を想う気持ちを、独白します。
今週からお盆に入りますね。お寺の関係でちょっとだけ早く初盆を迎えました。
7日に感傷的なツイートをして、思い出していました。
明後日、父の墓に行くのだけど。ほんとにあの歌じゃないんだけどそこにはいないんよねー。
最近やっとその現実がそこにあって、メールとか残ってるの見ると、あー。って実感する。
親は先に居なくなるよー。生活も、心の独立も、早めにね。#人生
— スギヤマコウジ@ライター&ブログLv.1 (@sugiyamamonolog) August 7, 2020
明後日、父の墓に行くのだけど。ほんとにあの歌じゃないんだけどそこにはいないんよねー。
最近やっとその現実がそこにあって、メールとか残ってるの見ると、あー。って実感する。
親は先に居なくなるよー。生活も、心の独立も、早めにね。
うるさいと思っていた親も、昨年、静かに静かに、亡くなりました。
肺腺癌というやつで、見つかったときにはもう末期状態です。
僕の誕生日の前日に、静かに亡くなってから半年以上が経ち、現実がおいついてきました。
現実が追いついてくると以下の感情が心を蝕んできます。
- たくさんの後悔
- 苦しみ、喪失感
- 自己嫌悪、否定、悔恨
今回のお話は、親を失う前に、するべき親孝行。後悔と感情についてです。
僕はこのことを誰かに伝えたい。それが必要だと思ったから。
この記事から、なにかを感じ取って、もし、それが現実なら。早く早く行動して欲しい。
- 親が癌になって、覚悟するべきことは?
- 後悔しないために、どうするべきだったのか?
- 親孝行しなかったことで、後悔したことは?
- ありがとうを、伝えることを忘れないで
親が癌になって、覚悟するべきことは?
現実として、治らないとわかっている現実がそばにいる。
「癌は治る」とか「24時間テレビのドラマ」とか非現実的なフィクションだったらよかった。
親がいなくなることが、9 割確定している現実が突きつけられます。
あんなに元気だった人が、あんなに口煩かった人が、1枚の診断書に絶句したのを覚えている。
今まで定期検診していたことは?痛みは?
病院に通っていたこと、全てのことが一瞬でよぎって、目の前がぼやけて何も見えなくなった。
覚悟して最期を見届ける人へ、伝えておきたいことは以下です。
- 弱っていく姿を、ずっと追い続けることになる
- 現実感がないまま、日々は過ぎる
- その時が近づくのが、わかる
後悔は本当に先に立つことはない。
逝く人の恐怖は計り知れない。残される人の深い悲しみも、誰かが伝えるべきだと思う。
弱っていく姿を、ずっと追い続けることになる
最初の薬がとても良く効いて、安堵したのを覚えています。
なにか特別な方法でもなんでもいい。このまま治ってくれればそれでいい。
それでも、誰もがいつも通りに過ごそうとする。
まだ、父が自力で動けていたときに、薬を塗るのが僕の役目でした。
風呂上りの父の体は、まるで老いたように細く。
漲っていたはずの力こぶはなく、細い体と薬の副作用で赤く腫れた肌がそこにありました。
治ることはない。癌がちいさくなったら、切れるんじゃないの?
無くなったら直ったことになるんじゃないの?
医者はとても淡々と伝えてくる。お薬をどうしましょうか。治験をしてみますか。
ベッドの空き、順番待ち、次の検査。家族の時間。そんな長くないですよ。
日々が過ぎて、体重が落ちていくのを情報として受け取る。癌が大きくなった小さくなったことに一喜一憂する。
現実感がないまま、日々が過ぎる
現実感がない。事実を見ることができなくなる。
本人は、淡々とするべきことをする。僕は家族の中でもかなりぼろぼろと泣いた。
仕事もしていたし、家に帰って家事を手伝ったり、痛いところにパッチを貼ったり。背中を撫でたり。
なんとなく薬が効くと、もしかしてこのまま良くなるんじゃないの?
生存率とか病気を克服してくれるんじゃないかと頭をよぎることばかりが多くなる。
父は寝る前に話をしました。
「お前のせいじゃない、だから泣かなくていい。ごめんねって謝ることもない」
エンディングノートを作るのですが、僕はその時も涙でぐしゃぐしゃで、何も話せなかった。
涙が枯れないし、鼻水も止まらないし、この文を書きながら、なみだがでてくる。
僕のせいじゃないとか関係なくて、予兆もあったのに、それをもっと真剣に取り合えなかったことが悔しかった。
1日がどんどんすぎていく。
もっとするべきことがあるってわかってても。どうにもできなくて、すぎていく。
その時が近づくのが、わかる
意識が安定しなくなり、答えてくれているのか、そうでないのか。
そして親族が集まる時間が増え、その日が近づいているのが、わかりました。
- ある日から、急に歩くことが難しくなっていく。
- 補助が必要になり、介護が必要になる。
- 寝たきりの時間が増えていく。
介護の時に母が父に対して怒ってしまった時、また泣きました。
家で介護をすることの難しさ、そしてうまくいかない歯痒さ。やめてくれといって、父を守って、母に休んでもらって。
父は、もうちゃんと認識することも、難しくなっていた。悲しかった。
家で介護をする最後の日に、ハッとまるで意識を取り戻したように、父と話をすることができました。
父は、そうか。そうだったのか。そういって、またゆっくり眠りにつきました。
僕が本当に意識のある父と話した最後だと、僕は思っています。
ありがとうをこの時に伝えましたが、伝わったのか、僕にはわかりません。
もっとやるべきことは、他にあったかもしれない。
後悔しないために、どうするべきだったのか?
僕は、この初盆が近づくたびに、父を思い出しました。家族にも誰にも伝えられない気持ちをどこかにぶつけたかった。
もう終わる命に対して、僕たち残される側は後悔しない選択をしなければいけない。
もちろん、残す側への手助けが最優先で、その人が後悔しないようにするべきです。
後悔してはいけない。僕は後悔しました。たくさんの後悔をしました。
- 父に孫をみせられなかった
- もっと旅行へ出掛けるべきだった
- 一緒にたくさんのことをするべきだった
ひどいことを言ったことを謝るべきだった。
もっと過ぎていく時間を、たいせつにするべきだった。
他の人には、間違えて欲しくない。
でも真っ直ぐ向き合うと潰れてしまうから、これから書くことは心の隅に留めていて欲しいことです。
後悔を少しでも減らすために、気をつけるべきこと。
目先の喜びに惑わされない
最初の治療は、なにかうまくいったように見えます。意外と元気だったり、普通に歩いたり。
ですが、目先の喜びに惑わされてしまわないことです。
それはただの治療、延命です。本当にひとにぎりの時間が増えただけ。
- 時間を大切に慈しむことを心がける。
- 間違ってもよくなったなんて希望を入れない。
- 別のことに集中して時間が減っていることから逃げない。
限られた時間をどう使うのか、もちろん自分の時間をそこに費やすことはできないと思う人もいる。
それは仕方ない。後悔しないと誓って自分を生きるのならそれも大切な選択です。
家族で話し合って、分かち合って、そうあれば良い。
仕事に逃げたり、別のことに逃避しない
仕事をしていると、ついそれに集中したり、ゲームにハマるとなんとなく忘れられます。
忘れようとしているから、仕事やゲームに走るのでしょう。
でも、逃げることが後悔に繋がって欲しくない。
その時を逃してしまった。手をつなぐことも、でかけることも、一緒に歩くこともできたのに。
でも後悔は先に来ない。
だから、全ての後悔をなくしてから迎えてほしいと思います。
相手の意思があるうちに、解決をする
僕はもっとも、後悔している。父がまだ大丈夫なあいだに、できることはあった。
- 話すべきことがもっとあった。
- もっと褒められたかった。
- ありがとうと伝えたかった。
それをしなかったことを後悔しています。
寝たきりの父に対してありがとうと伝えたり、意志のない掌に触れたけれど、寂しいだけ。
残された人間はずっと後悔する。死ぬまで後悔する。あの世があれば伝えられるかもしれないが。
あの世がなかったら、ずっと、ずっと後悔する。自分のその日まで後悔する。
残される側の人間も、後悔しないために全てするべきです。
エゴかもしれないけれど、それが真実。
残す側も残される側も、楽になるために解決するべきことを全てすることが、後悔しない方法です。
そのために仕事も辞めたって構わない。遠くても全部ほっぽりだしたって構わない。それくらい重い後悔が待っている。
親孝行しなかったことで、後悔したことは?
親孝行ってなにをするのがいいのか、いきなり時間がないのにどうすればいいのか。
思い残しを作らないことが意味のある親孝行です。どちらの側でも。明日するべきことを今日するくらいの気持ち。
それくらいの気概で思い残しを消し去る。後悔すると、心のしこりが大きくなります。
僕が仕事を辞めた理由は、後悔に繋がっています。
- 精神的なバランスが崩れた。
- 心の拠り所がなくなった。
- 後悔が仕事中に波になって来て、泣いてしまう。
人が死ぬって、それくらいショックな出来事です。
迷っている暇はない。今すぐに行動する
迷っている時間はありません。もし砂時計が落ちているなら、できることをしてほしい。
最後の誕生日に父にボールペンを送りました。それで絵を書いてくれた。
なぜもっと早く贈らなかったのか。最後の誕生日はとても盛大で、とてもしあわせでした。
疲れているなら仕方ありません。現実から目をそむけたいでしょう。
ただ、あとどれくらいなんでしょうか。それだけ考えて、できることをしてください。
迷っている間に時間が減っていく。今すぐ、行動してほしい。
自分も相手も、心残りを作らないために。
親孝行でもなんでもいい、その時間を大切にする
本当に大事なことはお互いがその時間を大切だと思うことです。
僕と父は、将棋を指しました。意識があるうちの話ですが、何年も使っていた将棋盤にコマを並べて、誰かと将棋をする。
別にどこかに連れて行くことをしなければいけなかったり、贈り物じゃなくてもいい。
それがどれだけ幸せだったのか、いまだからわかる。
あなたがその人としたいことってなんですか。逆にして欲しいことはなんですか?
それが叶うことなら、大切に大事にしてください。
もう一度、あの大きな掌で、頭を撫でてくれたら、僕は。
失う前に、できること全てを話すこと
エンディングノートというのが緩和ケアの段階にいくと配られます。
最後にこころ残りをなくすためです。
その人がどうしたいのか、喧嘩になることもあるでしょう。でもそれも相手がいればこそ。相手がいなければ喧嘩にもならない。
失うことから逃げてはいけない。人は絶対に死ぬから。
だから逃げずに後悔しないように話をする。故人となる人がなにを望むのか。
「その人の意志をどれだけ尊重できるのか」
そして、その人が亡くなった時に、しとやかにおくる。心残りになるようなことは全て話をしたほうがいい。
家族仲が悪いなら、できれば集まって、仲直りできる方が、幸せですよ。
ありがとうを、伝えることを忘れないで
僕は「ありがとう」をどうしてもちゃんと伝えられなかった。
ありがとうって言ってしまったら、本当に本当にもうダメだと認めてしまう気がして。最後の最後まで言えなかった。
言った時には眠っていたのかもしれない。
最後の瞬間に、僕が手を掴んだ時。心拍数が回復したことだけはずっと残っている。
会社にいくか悩んでいる日で、病院に呼ばれ、病室に入ったあのとき。
母と僕で呼びかけて、手を握った時に。最後の力で、聞こえているよと。
きっと伝えてくれたのだろうと、僕はずっと思っている。もうそれを確かめる術はないけれど。
「ありがとう」という言葉を伝えることをわすれないでください。
僕は父を忘れたくない。父も僕に忘れて欲しくなかったのかな。だから僕の誕生日の前日に、そっと旅立ちました。
ありがとね。いつでも言えると思ってたけど。そのいつでもは今日までかもしれない。
今回は、初盆を迎えた父に伝えたかったこと、そして僕の後悔を書きました。
誰も後悔しないで欲しい。記事として書くか、悩んだけど、どこかに書き残したかった。
盆は、目の前に相手がいるような状態と同じです。
また遺影に手を合わせて、思いを込めて話しかけようと思います。
大事な人に、感謝を。ありがとう。
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